心不全
医師・医学生の方へ
To Doctors & Medical Students
心不全
心不全は日本だけでなく世界の主たる健康問題の1つです。先進国においては社会の高齢化とともに高齢心不全患者が増加し(図1)、医療経済的にも問題となっています。
図1 当院における心不全患者の年齢ごとの割合
心不全は5年で約半数が死亡する予後不良の疾患であり、男性では膀胱がん・大腸癌と、女性では大腸癌の予後とほぼ同等であることが報告されています(図2)
しかし予後不良の疾患であるにもかかわらず、患者・家族から「心不全=生命予後不良、繰り返す再入院」という認識がされていないのが現状です。
当院においては、2017年から心不全看護認定看護師を中心に、医師、看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士、地域医療連携室からなる多職種による介入「ハートケア 多職種カンファレンス」を開始し、家族・患者教育、運動療法、退院後支援を行い、心不全患者の生命予後改善だけでなく、健康寿命改善につながるよう積極的に介入しています(図4)。
地域で心不全患者、特に高齢心不全患者を支えられるよう、役所、実地医科の先生方、ケアマネージャー、院外薬局などとも連携できるシステム作りについては現在取り組んでいるところです。
当科では心不全専門医として若手医師育成に力を入れています。当院は心臓移植認定施設ではないものの、認定施設への国内留学の機会を設けています。
また、心不全領域の臨床及び基礎研究も行っており、臨床研究においては特に心不全レジストリー(NARA-HF研究)を介したリスクの層別化を行うことで、新たな介入試験、新規薬剤の開発の可能性を探ることを目標としています。詳細は研究活動の紹介(心不全レジストリー/基礎研究)をご参照ください。